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ウズベキスタンの自治共和国・カラカルパクスタン共和国【後編】

Salom!(ウズベク語で「こんにちは!」)


前回からウズベキスタンの自治共和国「カラカルパクスタン共和国」について前後編の2回で紹介しています。


この記事を読んでいる皆さんは「カラカルパクスタン」をご存知でしょうか?ウズベキスタンと何らかの形で関わっている人であっても、この国について知らない人もいるかと思います。


「カラカルパクスタン自治共和国」とは、その名の通りウズベキスタンの中にある自治共和国です。

と聞くと「そもそも自治共和国とはなんだろう...」という疑問を持つ方もいるかと思います。日本人にはなかなか馴染みがない言葉ですので。


前回の記事でカラカルパクスタン自治共和国の基本情報と歴史的ルーツを紹介しました。この記事ではカラカルパクスタンの観光地や現在の様子などを書いていきます。



〈この記事はこんな人にお勧めです〉

  • ウズベキスタンと何らかの形で関わりがある人

  • 「カラカルパクスタン...?」と聞いたことはあるけど詳しくは知らない人

  • ウズベキスタンに旅行に行く予定がある人




カラカルパクスタンの観光地:船の墓場


カラカルパクスタン自治共和国はウズベキスタンの西部1/3を占め、そのあたりはかつてアラル海という内陸海があった地域です。


アラル海はかつて内陸海で世界第4位の広さを持っていましたが、20世紀の旧ソ連の無理な灌漑でその海のはかつての1/10まで干上がってしまいました。具体的には、天山山脈から流れアラル海に注ぎ込む2本の大河、アム川とシル川の水が大量にウズベキスタンでの綿花栽培のために使われたことが原因だと言われています。

20世紀最大の環境破壊とまで言われるほど、このアラル海の縮小は世界に大きな衝撃を与えました。




その干上がったアラル海を象徴する場所が「船の墓場」と言われる場所です。

カラカルパクスタンのムイナクという町はかつてアラル海沿岸の漁村として栄えていました。しかし、アラル海が干上がってしまったことによる塩分濃度の上昇で魚が住めなくなりました。さらに砂漠化が進んでしまったせいで、一部の人は移住を余儀なくされたといいます。


そんなムイナクには、かつて漁で使用されていた何隻もの船が砂漠の中に取り残されています。



ぜひウズベキスタンに行かれる際には、少し遠いですがヌクスまで飛行機で飛び、ムイナクまで行ってみてはいかがでしょうか?日本では考えられない地球温暖化と灌漑農業による自然破壊をその目で確かめてみてください。




2022年:憲法改正への反対デモ


ウズベキスタンのミルジヨエフ大統領がカラカルパクスタンの権限縮小を盛り込んだ憲法改正案を発表したことをきっかけに、カラカルパクスタン共和国内で大規模デモが発生しました。

具体的な憲法改正案には「住民投票を通じて自治共和国はウズベクから独立できる」とする現行憲法の規定を削除する条項が含まれていました。


政府は18人が死亡、243人が負傷したと発表し、過去17年間で最悪の事態となってしまいました。


デモの発生を受けて、大統領は改憲案のカラカルパクスタンの権限縮小に関する条項を撤回する計画を表明しましたが、カラカルパクスタンには1か月の非常事態宣言が出され、他の地域からの立ち入りなどが制限されました。


普段は平和なウズベキスタン・カラカルパクスタンではありますが、自治共和国という特殊な行政単位であるため、このような政治的な問題・デモが起こる確率は決して低くないです。


今後カラカルパクスタン自治共和国の立ち位置をウズベキスタンが政府がどのようにしていくのか、注目していきたいですね。




まとめ


カラカルパクスタン自治共和国は行政単位の特殊性だけでなく、地球の環境問題を表象している町があるなど、ウズベキスタン以上に民族的にも政治的にも複雑な地域です。


しかし人々の優しさなどはウズベキスタンと全く変わらず、平穏なときに観光する国としてはかなりおすすめできます。

ただ行くだけで、民族のアイデンティティについて考えるきっかけになったり、地球問題を肌で感じることができる国です。


ぜひこの記事をきっかけにカラカルパクスタン自治共和国について、読者の方が興味をもってくれれば幸いです。


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