Salom!(ウズベク語で「こんにちは!」)
この記事では、ウズベキスタンで話されている言語について紹介します。
ウズベキスタンに旅行に行く人は、現地で話されている言語を少しでも知っておきたいと思うでしょうし、日本にいるウズベク人に日本語を教える日本語学校の先生などは、彼らがどんな言語を母語としているのか興味があると思います。
日本のように「日本に住んでいるから母語は日本語」のように簡単にいかない(日本でも母語が日本語ではない人はもちろんいますが...)のが、歴史的にも地理的にも民族が入り混じってきたウズベキスタンの特徴です。
ウズベキスタンではどんな言語が公用語とされ、しかし実際国民はどんな言葉を話しているのかを解説していきます!
〈この記事はこんな人にお勧めです〉
ウズベキスタンに旅行に行く予定のある方
日本にいるウズベク人に日本語を教えている人
中央アジア、旧ソ連圏の言語事情に興味がある人
公用語:ウズベク語
まず、一番に抑えておきたいことは「公用語はウズベク語」ということです。ウズベク語はテュルク諸語に属し、トルコ語やウイグル語と文法や単語が共通しています。
ちなみに「主語+目的語+動詞」という語順で、これは日本語とも共通しています。そのため、ウズベク語⇆日本語はそれぞれの母語話者にとって、理解しやすい言語です。
また、公的にはラテン文字(アルファベット)で表記することになっています。特殊な記号もありますが、基本的には日本人はすぐにウズベク語を読むことができるはずです。
しかし、表記については、ラテン文字だけではなくキリル文字(ロシア語の表記で使う文字)も残っているのが現状です。
街中のお店の看板や、レストランのメニューなどは、むしろキリル文字表記の方が多いのではないかという印象を受けます。
その理由は以下の通りです。
⇩
1991年に旧ソビエト連邦から独立した際に、ウズベキスタン政府は国民に「ウズベキスタン国民」としての意識を持たせるため、またはロシア(旧ソビエト連邦)から離れるために、ウズベク語を公用語としました。しかし、独立以前に大人になった世代の中に、ウズベク語で教育を受けておらず、ウズベク語を話すことができない、またはアルファベットを読むことができないという人が一定数発生してしまいました。
ウズベク語(ラテン文字)だけで公的機関や文書は表記したいけれども、それでは支障が出る人が一定いるため、今でも多くの場所でキリル文字表記が使われています。
ロシア語も広く使われています
前述のとおりの理由から、今でもウズベキスタンはロシア語が広く話されています。特に年配の方に多いですね。
電車の切符や企業のホームページなどは大体ウズベク語とロシア語の表記が両方あります。
旧ソビエト連邦から独立した後の世代の人の中には、学校ではウズベク語を話しているが家では両親とロシア語で話す、という人もいます。そのため、ロシア語とウズベク語を両方話せるという人が非常に多いです。
また、ロシア語を話すことはできないが、聞き取ることはできるという人もいます。確かに、ウズベキスタンで生活をしていると基本的なロシア語のフレーズは日本人でも何となく覚えていくので、生まれた時からこの環境に身を置くウズベキスタンの人々にとっては当たり前かもしれません。
タジク語などその他の言語も使います
「ウズベキスタンの民族事情」の記事で解説したとおり、ウズベキスタンにはウズベク人だけでなく、他の民族アイデンティティを持つ人が一定数います。特にウズベク人以外の民族がの比率が多い町では、ウズベク語・ロシア語以外にも話せる言語を持っている人もいます。
よく見るのは、タジク人が多いサマルカンド・ブハラでタジク語を話す人が多いということです。
また、アフガニスタンに国境のテルメズでは、アフガニスタンの言語を話す人がいたり、キルギスとタジキスタンに挟まれているフェルガナ州ではキルギス語やタジク語を話す人もいます。人それぞれ、といった感じです。
また、彼らはこれらの言語を日本でいう方言のような感覚で使い分けていると言っていましたが、ウズベク語(テュルク語系)、ロシア語(スラヴ語系)、タジク語(ペルシャ語系)という、全然系統が異なる言語を使いわけるウズベキスタンの人は本当にすごいと感じます...。
まとめ
いかがだったでしょうか。
ウズベキスタンは旧ソビエト連邦から独立した国であること、さらに周りが5か国もの国に囲まれていることから、周辺国の言語を話す人も一定数います。
ぜひウズベキスタンに来るときは、彼らが話している言語が何語なのか、耳を澄まして聞いてみてください。
また、日本にいるウズベク人と話すときは、何語を母語としていて、第2・第3言語で何語を話せるのか聞いてみると、話が盛り上がるかもしれませんよ。