Salom!(ウズベク語で「こんにちは!」)
今回はウズベキスタンの自治共和国「カラカルパクスタン共和国」について前後編の2回で紹介していきます。
この記事を読んでいる皆さんは「カラカルパクスタン」をご存知でしょうか?ウズベキスタンと何らかの形で関わっている人であっても、この国について知らない人もいるかと思います。
「カラカルパクスタン自治共和国」とは、その名の通りウズベキスタンの中にある自治共和国です。
と聞くと「そもそも自治共和国とはなんだろう...」という疑問を持つ方もいるかと思います。日本人にはなかなか馴染みがない言葉ですので。
この記事では自治共和国とは何か、という基本的なところから書いていくので、まったく知識がない人でも、この記事を読めば「カラカルパクスタン共和国」について基本的なことが分かるようになります!
〈この記事はこんな人にお勧めです〉
ウズベキスタンと何らかの形で関わりがある人
「カラカルパクスタン...?」と聞いたことはあるけど詳しくは知らない人
ウズベキスタンに旅行に行く予定がある人
自治共和国とは
自治共和国とは辞書によると「独立国の中に設けられる地方自治政体のうち、通常の州・地区・県・市などに比して広汎・高度の自治権を付与される「国家内国家」の一形態の呼称のこと」です。
そして、この言葉は特にソビエト連邦の構成国に対して使われてきました。ソビエト連邦共和国の構成国として、憲法・最高会議・閣僚会議・最高裁判所などをもち国家として扱われた行政単位のことです。
ソビエト連邦にはかつて1977年憲法の時点では20の自治共和国がありました。現タタールスタン、チェチェン、ダゲスタンなど16の共和国はロシア共和国に属していました。それ以外にもウズベク共和国にはカラカルパク自治共和国、アゼルバイジャン共和国にはナヒチェバン自治共和国など、ソビエト連邦内の共和国のさらに内部に自治共和国を設けていました。
ソ連、その後のロシア連邦は共に、ロシア民族以外の民族が主体となる地域に共和国を建てました。世界一の国土面積を持つわけですから、その実情すべてがロシア民族ということはありえません。ソビエト連邦、ロシア連邦の枠内でそれぞれの民族が自らの国土や国語を保持できるように作られたシステムです。
カラカルパクスタン自治共和国について
ここではカラカルパクスタン自治共和国の基本情報を書いていきます。
正式名称:カラカルパクスタン自治共和国(英語表記:Karakalpakstan)
面積:16万5000km2(ウズベキスタンの西の1/3(37%)の面積を占める)
首都:ヌクス(英語表記:Nukus)
人口:約180万人(2017年時点)
民族構成:カラカルパク人31.7%、ウズベク人31.5%、カザフ人26.9%、その他
国語:カラカルパク語、ウズベク語
前述したとおり、カラカルパクスタン共和国は、ウズベキスタン共和国とは違った独自の憲法、内閣、議会、最高裁判所をもち、政治的にもウズベキスタンからの独立性は高いと言えます。
カラカルパクスタンの歴史的ルーツ
ではここからは、ウズベキスタンの大半を占めるウズベク人と、カラカルパクスタン自治共和国を形成しているカラカルパク人の歴史的・民族的ルーツの違いについて書いていきます。
カラカルパク人はテュルク系の民族で、ここはウズベク人と共通しています。
しかし、「ウズベキスタンの人種構成」の記事で書いた通り、ウズベク人が古代にアム川とシル川の間のオアシスで定住し農耕をしていた人々を人種としてのルーツだと考えているのに対し、カラカルパク人は最古の先祖は紀元前1世紀以後、アラル海南岸に住んでいたサカイ,マッサゲタイといった民族であったと考えています。
アム川とシル川の間からは少し西にずれます。
そこから他のフン族や突厥などが押し寄せ、部分的にテュルク化が始まりカラカルパクの成立も始まったと言われています。
その後16世紀から17世紀にはヴォルガ川流域で遊牧していたという文献も残っていますので、ウズベク人ほど農耕民族だったという意識は低いのかもしれません。
18世紀は東部のジュンガルからの侵攻にあい、19世紀後半にロシア帝国に侵略され、トルキスタン総督府下に置かれました。そして、中央アジアの民族策定の際にウズベク共和国内の自治共和国として現在のカラカルパクスタンの原形が成立しました。
前半まとめ
カラカルパクスタン自治共和国の基本情報とその歴史的ルーツについて、ここまで書いてきました。
ウズベキスタンすらあまり有名ではない日本で、さらにカラカルパクスタンと聞くと知っている人はほとんどいないのではないでしょうか...。
ぜひ日本に住むウズベキスタンの人と関わりがある方は、カラカルパクスタンを話題に出してみてください。意外とカラカルパクスタン出身の人もいたりしますよ。
後半では旅行者向けにカラカルパクスタンの観光スポットや現在の様子などを書いていきます!