Salom!(ウズベク語で「こんにちは」)
今回はウズベキスタンのインフラ事情についての記事を書いていきます。まだまだ発展途上であるウズベキスタンで、電気やガス、さらにインターネットなどのインフラがどのくらい使えるか、未知数な人が多いのではないのでしょうか?
※ウズベキスタンのインフラ事情の記事の内容はこちらです
電気・ガス編(本記事)
ネットワーク編
道路編
今回はインフラ事情の第1回として「電気・ガス」について解説します。ウズベキスタンに旅行へ来る方、仕事で来られる方、逆に日本にいるウズベキスタンの人と交流のある方にとってお役立ちの情報になれば幸いです。
〈この記事はこんな方にお勧めです〉
ウズベキスタンに旅行に行く予定のある方
ウズベキスタンに住む予定のある方
在日ウズベク人と関わりのある企業や学校の方
電気編
まず電気を供給するネットワークについてです。
ウズベキスタンで、電気を最終消費者である国民に供給する会社は「Hududiy elektr tarmoqlari(地域電力ネットワーク)」といいます。
この会社は2019年3月27日に、共和国大統領令「ウズベキスタン共和国の電力産業のさらなる発展と改革の戦略について」に基づき設立されました。
この企業の下には12の地域支部(各州に設置)と、2つの私的企業(新規開発や大規模修理を担当)が含まれています。
2023年1月現在で、この会社が所有する電力網は以下のようになっています。
送電線の総延長(0.4~110kv):270,266.2 km
最終配電先までの変電所の総数:1788台
また、ウズベキスタン国内での電力消費者数も以下の通りです。
法人:38万8000ユニット
個人:780万ユニット
ウズベキスタンの世帯数と照らし合わせると、人口のほとんどがこの電力会社から電力を供給されていることが分かります。
電力会社が民営化されている日本と違い、ウズベキスタンの電気は国から供給されているということができます。
続いて発電方法です。
ウズベキスタンの主な発電方法は火力発電です。天然ガスが豊富に採れるウズベキスタンですが、主に外貨獲得に使われるため、国内では石炭を利用しています。
こちらはナボイ州にある火力発電所です。2019年に日本のODA(政府開発援助)によって、老朽化したタービンから発電効率の高いカーボンへの取り換えが行われました。
参照:JICA「ODA見える化サイト」https://www.jica.go.jp/oda/project/UZB-P16/index.html
さらに、各家庭の電気料金です。
ロシアウクライナの戦争で電気料金が高騰し、2023年の冬、ウズベキスタンの一般家庭(5~8人くらいで暮らしている)の場合、月30$(約4000円)ほどです。
日本と比較すればかなり安いと感じると思います。
夏は電気ヒーターを使わないので、もう少し安くなるそうです。
最後に電気供給の信頼性です。
ウズベキスタンの電気の送電線などは、ソ連時代に作られたものがほとんどで、すでに老朽化し、たびたび故障することがあります。
そのため、町でも時々ではありますが停電することがあります。生活に支障が出るほどではありませんので、来られる予定のある方は安心してください。
※2023年1月の大寒波(最低-20℃)が来た時は、電気の送電線も凍ってしまい、サマルカンドの街中でもエリアによっては3日ほど停電する事態になってしまいました。「普段はこんなことはない」とウズベキスタンの方は言っていました。
ガス編
ウズベキスタンのガスも電気と同じく、国営会社が供給しています。
そして「ウズベキスタンの産業 エネルギー編」でも述べているようにウズベキスタンは天然ガスが豊富に採れる国です。
こう聞くとウズベキスタン国内のガス料金は安く、供給は安定しているのではないか...?と考える人も多いかと思いますが、実は国内のガスの供給は必ずしも安定しているとは限りません。
というのも、先ほど電気編で述べたように、国内で採れる天然ガスのほとんどは外貨獲得のために輸出されています。特にロシア・中国への輸出量が多いです。
人口がそれほど多くなかった昔は、海外へ輸出していても国内でガス不足になることはなかったのですが、ウズベキスタンはここ十数年で人口が急激に増加しています。そのため、近年は特にガスを使う冬場に、ガスが足りなくなるという事態が起きているのです。
また、月ごとのガス代はウズベキスタンの一般的な家庭(4~8人暮らし)で、約15$程度(約2000円)です。
これも日本に比べればかなり安いですね。
まとめ
以上、ウズベキスタンの電気・ガス事情でした。読む前に想像していたイメージと比べていかがだったでしょうか?
たまに停電したり、ガスがなくなることもありますが、観光で来るだけでしたら困ることはないので安心してください。
また、このように頻繁に設備が壊れるのでガスや電気の修理ができるウズベク人男性が意外といます。ぜひ日本でウズベキスタンの人と話すことがあれば、話のテーマにしてみてください!