Salom!(ウズベク語で「こんにちは」)
本記事からウズベキスタンで多くの人が信仰している宗教・イスラームについて紹介します。
本記事ではウズベキスタンにおけるイスラームを紹介する前に、そもそもイスラームとはどんな宗教なのかという基本的なことを書いていきたいと思います。
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「イスラーム」とは
イスラームは6世紀にアラビア半島で預言者ムハンマドが唯一神アッラーから啓示を受けて創始した宗教です。
イスラームとは「唯一絶対の神に帰依すること」を表します。(「イスラーム」の言葉の中に「教」という言葉が含まれているため、「教」を付けなくても「イスラム教」という意味を表します。)
イスラームを信仰する人をムスリムと呼びます。
イスラームは、キリスト教・仏教と並び、世界三大宗教の一つで、世界の人口の約1/4の人が信仰しています。主に西アジア、北アフリカ、中央アジア、南アジア、東南アジアなどの地域で信仰している人が多いです。
※画像:Wikipediaより
また、イスラームの中には「スンナ派」と「シーア派」という大きな2つのグループがあります。昔、預言者ムハンマド以降のイスラム教の指導者の決め方で意見が分かれたことに由来します。
ムハンマドの後継者として、「スンナ派」は聖典(コーラン)と言行(ハディース)を重視し、「シーア派」は預言者の血縁であることを重視しました。
現在ではムスリムの約9割がスンナ派、残りの約1割がシーア派です。この2つのグループはキリスト教や仏教の「宗派」とは異なるため、どちらかを異端として認めないということはなく、お互いをムスリムとして認めてはいます。
イスラームの教え
イスラームの教えは預言者ムハンマドが、約40年間にわたって唯一神アッラーから啓示を受けたもので、それは聖典『クルアーン』(コーラン)にまとめられています。
ムスリムは、イスラームへの信仰というよりも、実践こそが大切であると考え、神への服従を日々の行動にあらわします。
イスラームの中でも最も基本的な考え・実践とされているのが「六信五行」です。
「六信」はムスリムが信じなければならない6つの信仰箇条で、「五行」は信仰上の5つの具体的な行いを指します。
【六信】
アッラー(唯一絶対の神)
天使(神の使い)
啓典(クルアーン:神の声の記録)
預言者(神の言葉を伝える人)
来世(復活や死後の生命)
天命(神が定めた運命)
【五行】
信仰の告白(神を信じることを声に出す)
礼拝(1日5回お祈りをする)
喜捨(富める者は貧しい者に与える)
断食 サウム(イスラム暦9月の1ヶ月間日中の飲食を断つ)
巡礼(一生に一度は聖地へ行く)
多くの日本人と異なる点として、唯一神アッラーを信仰している点が挙げられます。
日本人は仏教の仏様や、古来からの八百万の神々を信仰していますが、ムスリムにとって神はアッラーのみです。京都に観光にきたムスリムの方は、お寺を見ることはありますが、本堂で手を合わせることはありません。
さらに五行に関して言えば、日常的に行われる「礼拝」や、年に一度、約1か月行われる「断食」は多くの日本人に馴染みがありません。
もしムスリムの方と同じ職場、同じ生活圏で過ごすことになった時には、これら五行の実践に理解を示す必要があります。
次回に向けて
本記事は「イスラームの教え」までで区切ります。
次回の記事で六信五行のうちの、特に五行を実践したムスリムの生活習慣について書きます。
実際に日本でムスリムの方と過ごすときに気を付けるべき点は何なのか、という観点で書いていくので、ぜひ興味のある方は次回の記事もぜひ覗いてみてください!
ウズベキスタンのイスラーム② ムスリムの生活習慣
【記事はこちら】▷ ウズベキスタンのイスラーム② ムスリムの生活習慣〈参考資料〉
観光庁「ムスリム旅行者受入環境の向上を目指して」2022年11月参照
NHK ニュースウェブ「グラフィック:スンニ派とシーア派ってどういうこと? 2018年5月30日」2022年11月参照