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ウズベク人の考え方② ジェンダー観編

Salom!(ウズベク語で「こんにちは!」)


前回から3回にわたって、ウズベク人のよくする考え方をカテゴリー別に紹介しています。


  • 働き方編

  • ジェンダー観編(本記事)

  • 家族のあり方編


日本に来るウズベク人を受け入れる学校や企業のご担当者様は、彼らの常識に時々戸惑ったりすることもあるかもしれません。

もちろん、生まれ育った環境が全く異なるので常識や考え方の差があるのは当たり前です。この記事がその壁を下げる助けになればいいと思います。



〈この記事はこんな方にお勧めです〉

  • 在日ウズベク人を受け入れている学校・企業の方

  • ウズベク人のジェンダーに対する考えを知りたい方

  • ウズベキスタンに興味がある方



イスラームの考え方が根底にある


別記事でご紹介したように、ウズベキスタンに住んでいる多くの方がイスラームを信仰しています。

教えを厳しく守っている人は今は少なくなってきましたが、子どもの頃から親にイスラームの教えを聞かされるので、ウズベク人の行動の根底にはイスラームの考え方があることが多いです。



その1つにジェンダー観、つまり男女についての考え方もあります。

ジェンダーとは「社会的・文化的な性差」のことです。ジェンダー観は、各個人または社会が「社会や家族の中での男女の役割をどう考えているか」ということになります。


イスラームの聖典『コーラン』では男女平等をうたっています。

しかしそこでは、男女が同じように扱われるのではなく「男は外で稼ぎ、女はうちで働く」というように、男女の役割がはっきり分かれています。


男性が一日中外で働いている間、女性も一日中ご飯を作ったり、掃除をしたりなどずっと家で働いています。

日常の食事作りや配膳、掃除などは基本的に女の仕事と考えられており、男性が手伝うことはあまりありません。

日本人から見たら、男性も多少は家事を手伝えばいいのに...と思うこともよくありますが、それは決して女性を軽視しているとかではなく「そういうもの」として無意識に行動しているだと感じます。


女性の社会的地位の低さについては、ウズベキスタンから出たことのある女性のみが真剣に社会問題として受け止めていると感じます。

海外旅行に行けるほど裕福な家庭はまだまだ少ないので、ウズベキスタンから一生出ない人、もしくはイスラーム圏の外に行ったことがある人は少ないです。

一度外に出て、欧米のジェンダー観に触れた女性の中には、ウズベキスタンの女性のあり方(ずっと家で働くこと)に疑問を持つ人もいます。

そのような人はウズベキスタンの男性ではなく、韓国やトルコなど他の国の男性と結婚するようです。



LGBTQについて


性的少数者について、法による罰則があるのか日本で意識することはありませんが、実はウズベキスタンでは法律違反になる場合があります

それは男性同士の性交です。違法行為をした場合は罰金または最大3年の懲役刑が科せられます。女性同士の性交は法に触れる行為には当たりません。


では、刑罰の対象になるか否かではなく、ウズベキスタンの人の性的少数者への考え方はどうなのでしょうか。

それは、性的少数者は社会の構成員の一員として認めない、という考えの人が多いです。

性的少数者だと周りに認識されている人は、仕事に就くことや結婚することはかなり難しくなります。



タシケントではLGBTQの人権擁護運動が行われたりなど、この問題に対してアプローチをしている人もいますが、幼いころから埋め込まれた性的少数者に対する価値観はなかなか変化させることが難しいのが現状です。



日本での対応


以上のようなジェンダー観を持つウズベキスタンの人に対して、日本人はどのように対応すればいいのでしょうか。


そもそも日本に来るウズベク人はほとんどが男性です。女性は家で働くことが求められますので、国外にしかも1人で行かせる家族はなかなかいません...。


「女性は内で働く」という考えが根底にあるので、もし万が一、日本人や他の女性に対して「どうして女性なのに、家で働いていないのですか?」などの質問をしていたら(さすがにすることはないと思いますが...)やんわりと、その質問は失礼であることを伝え、女性も外で働くことがあると伝えるといいと思います。


また、LGBTQの話題ですが、これは絶対に必要な場面以外で、話題に出すことはしないほうがいいように思います。人によっては過激な発言をして、周りを困らせ、不快にさせることもあるためです。



まとめ


ここまでウズベキスタンのジェンダー観について書いてきましたが、いかがだったでしょうか?

良くも悪くも、一昔前の日本を思わせるような考え方を持っている人が多いです。

特に「女性は生きにくい」と筆者は自分が女性であるため思ってしまうことが多いです。ウズベキスタンに住んでいる女性は、そう思っていない人も多いようですが。

話題にするときは慎重に、もしくは向こうから話を振ってくるのを待つのが無難なように思います。



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